慢性疾患
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)
英語で言うと”Frozen Shoulder”といい、肩関節が固まってしまっている状態です。
原因
原因がはっきりしないけれども肩関節が固まっている状態を肩関節周囲炎や四十肩・五十肩と呼んでいます。
症状
固まっていることで可動域制限や、無理に動かそうとすると痛みが出ます。
よくエプロンを結べなくなったり、夜に寝返りで痛み目が覚めるなどの症状で受診される方が多いです。
治療
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固まった関節を柔らかくするストレッチを中心とした運動器リハビリテーションがなによりも有効です。
そのサポートとしてリハビリをしやすくするために投薬、注射、器械を使った物理療法を併用します。“治す”ポイント!
痛みがないところまでのリハビリでは効果に限界があります。
少し痛みを感じるところまで頑張ってストレッチしていくことがポイントです。
腱板断裂
肩を動かし守る4つの筋肉の腱を合わせて腱板と言います。この断裂が腱板断裂です。
原因
年齢による劣化、使いすぎ、外傷など様々です。
完全断裂した腱板は自然には治りません。
症状
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肩の痛み、動きの制限、力が入らず挙げられないなど
治療
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痛みには投薬、注射。動きの改善にはリハビリを行います。
完全断裂している場合も他の筋肉でサポートして症状を改善することも可能です。
それでも改善が無い場合や肩が全く上がらなくなってしまったなどあれば手術を行います。“治す”ポイント!
やはり肩の治療はリハビリです。症状に合わせた正確なリハビリが著しい改善をもたらします!
反復性肩関節脱臼
肩関節は人体で一番動く関節であり、それであるが故に一番脱臼しやすい関節です。一度脱臼すると、以降何度も繰り返し易くなります。
原因
転倒、スポーツなどの怪我で悪いポジションで力がかかると肩が脱臼します。
そのまま緩んでしまった靱帯に緩さが残ることで脱臼を繰り返すようになります。
症状
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二回目以降はどんどん脱臼しやすくなり、日常生活でも簡単に外れるようになることもあります。
また“外れそう”といった不安感が生じることが多く、動きに制限がかかってしまうこともあります。
治療
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最初は肩関節周囲の筋トレで安定化を図りますが、それでも脱臼を繰り返す場合は根本的な安定性を得るために手術を行います。
“治す”ポイント!
特に肩のインナーマッスルである腱板の筋トレが重要です。特に重要な筋肉を重点的に向上させる指導を行います。
石灰沈着性腱板炎
肩の腱板にチョークのような石(石灰)が貯まってしまい周囲に炎症を起こす病態です。
原因
完全には解明されていませんが、昔の外傷による血の塊が石灰に置換されてしまうことが原因の一つと考えられています。
症状
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石灰自体が引っかかり炎症を起こしたり、石灰が自然と溶ける過程で強く動かしたときの痛みと夜間痛を引き起こすことがあります。
治療
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投薬や注射で炎症を抑え痛みの改善を図ります。痛みが継続する場合は注射や手術を行います。
“治す”ポイント!
石灰が消失傾向にあるかどうかの判断が重要です。消失傾向にあれば炎症を抑える治療で症状改善を待ち、頑固に残ってしまう場合はエコーを用いた注射で吸引したり、手術での摘出を行います。
変形性肩関節症
肩関節への繰り返す負荷や腱板断裂による動きの変化で関節の軟骨が削れてしまう病態です。
原因
年齢や職業での長期の使用による一次性変形性肩関節症、それ以外に原因がはっきりしている二次性変形性肩関節症(多くは腱板断裂)があります。
症状
動かしたときの痛みや動きの制限、力が入らず動かせないなどの症状が出現します。
治療
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まずは鎮痛薬投薬や関節滑りを良くする注射で症状を緩和させます。それでも改善しない場合や肩の機能向上を目指したい場合は手術(人工関節置換術)を行います。
“治す”ポイント!
どこまでの治療を目標とするかその設定が重要です。その目標と治療リスクを考慮しながら最適な治療法を提案致します。
外傷(ケガ)
上腕骨近位端骨折
高齢者の4大骨折の一つで3番目に頻度の高い骨折です。
“治す”ポイント!
手術が必要かどうかの判断が非常に重要な骨折です。手術をしない場合が殆どですが、手術をしない場合もずれてこないように慎重に、かつ、関節が硬くなりすぎないように適切なリハビリを行います。
肩関節脱臼
一般的に強い痛みを伴いますが、高齢者で腱板断裂がある人などでは軽微な外傷で抜けてしまい気づかないこともあります。
“治す”ポイント!
早期の整復がなにより重要です。長期に脱臼が続いていると骨が削れてしまったり周囲の靱帯が硬くなることで整復が困難になります。整復時はとにかくリラックスすることがポイントです!
鎖骨骨折
転倒などで肩をぶつけ横からの力が加わる事で鎖骨骨折が生じます。
“治す”ポイント!
鎖骨は折れる部分によって治療法が変わって来ます。手術になることは少ないですが、将来の機能を考慮して手術を含めた最適な治療を提案します。
肩甲骨骨折
転倒などで生じますが、肩甲骨は非常に複雑な構造をしておりレントゲンで見逃されることも多い骨折です。
“治す”ポイント!
手術をしない保存治療がほとんどですが、肩のお皿の部分に骨折が及んでいる場合は手術が必要になることも多いです。